教会の暦について
ルーテル教会の礼拝は、教会の暦に基づいて行なわれます。
- 一年間の礼拝でキリストの生涯を読めるように聖書の朗読箇所が配分されています。
- キリストの生涯は六つに区分けされ、その区分(季節と言います)を表す色(典礼色と言います)が決まっています。聖壇の掛布や牧師が身に着けるストールはその典礼色のものを使用します。
- 六つの区分は、1.待降節、2.降誕節、3.顕現節、4.四旬節、5.復活節、6.聖霊降臨節と呼ばれます。これは、教会が祝う三つの大きなお祭りを中心にして作られています。
- その三つの大祭は、降誕祭(クリスマス)、復活祭(イースター)、聖霊降臨祭(ペンテコステ)です。降誕祭を中心に、その準備期間として待降節があり、降誕節の終わりが顕現祭で、その後に祝祭のない季節(顕現節)が続きます。復活祭を中心に、その準備期間として四旬節(受難節)があり、復活節の終わりが聖霊降臨祭で、その後に祝祭のない季節(聖霊降臨節)が続きます。以下に、もう少し丁寧に説明を加えます。
典礼色について
- 典礼色は六つあります。色の表す意味と、それが使われる季節を説明します。
- 白は、神とキリストの栄光を表します。待降節と復活節
- 赤は、聖霊の働きを表します。聖霊降臨祭、宗教改革記念日
- 紫は、王の尊厳と悔い改めを表します。待降節と四旬節
- 緑は、希望と成長を表します。祝祭のない顕現節と聖霊降臨節
- 青は、天国、真実、普遍を表します。待降節(新しい用い方)
- 黒は、キリストの死を表します。受苦日(聖金曜日)、葬儀にも用いられます。
季節について
- 待降節(アドベント)
- 教会の暦の一年は待降節から始まります。11月の第四日曜か12月の第一日曜に新しい暦が始まります。
- 降誕祭(クリスマス)の四つ前の日曜日からクリスマスの前日までの期間です。
- キリストの誕生を待つ、そしてキリストの再来を待つ季節です。身を謹んで待つ季節です。
- 典礼色は伝統的には紫ですが、紫はキリストの受難を思う四旬節にも用いますので、それと区別するために現代では青を用いる教会も増えつつあります。青は母マリアの色でもあり、待降節にはふさわしいかもしれません。
- 礼拝ではアドベントキャンドル(紫色)を用意して、一週毎に火を灯すろうそくを一本ずつ増やしていきます。四週目には降誕を祝うクリスマス礼拝が行われます。肉体を持って人として誕生されるイエスさま、神と私たちをつないでくださった方を心に刻みます。
- 降誕節(クリスマス)
- キリストの誕生を祝う降誕日12月25日から顕現日1月6日までの二週間の季節です。降誕前夜のクリスマス・イヴは今やクリスチャンでなくとも祝うお祭りになっています。
- 季節の色は神を表す金色ですが、現実的には白地を金糸で飾ります。崇敬と喜びを表します。
- クリスマスツリーの輝きは、東方の博士たちを導いた星を思いおこさせます。美しさと静けさの中で、干草に包まった幼子イエスを心に刻みます。
- 顕現節(エピファニー)
- 顕現節は、1月6日から四旬節が始まる灰の水曜日の前日までの期間です。
- 顕現節は第一週にイエスさまが東方の博士の礼拝を受けたことを、第二週に洗礼者ヨハネから洗礼を受けたことを記念します。その後は、世の救い主としての御自分を世に公けに示し、多くの教え・癒し・奇跡を行った活動をたどります。
- 季節の色は、一週目と二週目は白、三週目からは緑。
- カーニバル(謝肉祭)。これは教会の行事ではありませんが、灰の水曜日から節制の時に入るので、その前にお酒や肉を食べ尽くそうと陽気に過ごす地方があり、毎年、その喧噪がニュースに取り上げられます。
- 四旬節(レント)
- 四旬節は、以前は「受難節」と呼ばれていました。キリストが苦難を受け十字架の死へ向かう時期を覚えます。
- 典礼色は紫です。受難の王を表す色、痛悔を表す色でもあります。
- 四旬節の期間は、灰の水曜日から復活祭の前日までの四十六日間ですが、その中に含まれる六回の日曜日を除いて四十日間と言い慣わしています。それで四旬節(40日間の季節)と呼ばれます。
- 日曜日は主(イエス・キリスト)が復活した日であることを覚えて、日曜日(太陽の日)と呼ばす、教会の暦では「主の日」または「主日」(しゅじつ)と呼ぶ習わしです。
- 灰の水曜日。ユダヤの民が悲しみの表現として灰をかぶることが聖書によく出てきます。灰をかぶるように、私たちのためにキリストが十字架上で死んでくださることを思い描きます。
- 枝の主日。キリストは金曜日に十字架の上で殺されますが、何も知らない民はその週の日曜日には、キリストを王になる方と喜び、シュロの葉を道に敷き、エルサレムに入城するのを迎え入れます。枝の主日は復活日の直前の日曜日です。枝の主日で始まる一週間を受難週または聖週と呼びます。
- 聖金曜日(受苦日)。キリストが十字架上で死を迎えられたことを覚えます。この日の典礼色はすべての色を覆い尽くす黒です。
- 復活節(イースター)
- 復活節は、死から三日後にキリストが約束したとおり復活したことを記念して祝う季節です。復活の象徴として、蝶や卵などが用いられ、クリスマス以上に世界の多くの地域で春のお祝いをします。
- 復活祭の日取りは、古代から、春分の日の後の満月の後の日曜日と決められています。クリスマスのように何月何日と固定していませんから、毎年、移動します。
- 昇天日。キリストは復活したのち四十日間、その姿を弟子たちに現わしましたが、四十日目の木曜日、天に上げられ、今も天から祝福を送ってくださていることを記念します。
- 聖霊降臨節(ペンテコステ・シーズン)
- 聖霊降臨は、天に上げられたキリストが、天から自分に代わる助け手として私たちに贈られた聖霊が下ったことを指します。それは復活から五十日目のこと、昇天から十日目のことでした。ペンテコステとは「五十日目」という意味の言葉です。日々の生活で聖霊の力なしでどのように信仰を保ち続けることができるでしょうか。
- この日の色は赤です。愛の炎の色です。
- 三位一体主日。聖霊降臨日の次の日曜日です。聖霊降臨の出来事から後、父と子と聖霊が一つとなって、私たちを守り支え力づけてくださるのです。そのことを記念し感謝をささげます。この日の典礼色は白です。
- 三位一体主日から待降節の前日まで、約半年間は聖霊降臨後の季節と呼ばれます。典礼色は緑です。
- 宗教改革記念日。ルーテル教会はマルチン・ルターの宗教改革によって始まった教会です。毎年10月31日には、「ただ信仰のみによって救われる」と説いたルターの教えに感謝し、キリストの大きな愛と恵みを称えます。ルターはだれでも神との親しい交わりができることを信じ、戦ってくださいました。歴史の教科書で教わった宗教改革という出来事が輝きを放ってきます。この日の典礼色は赤です。
- ハロウィーン。10月31日。宗教改革記念日と重なりますが、全聖徒の日の前夜祭です。日本でもこの日の欧米の風習が大衆行事になりつつあります。
- 全聖徒の日。11月1日です。イエス・キリストに希望を抱きつつ、この世を去られた多くの兄弟姉妹を覚え、死からの解放と救いを感謝します。先に走り抜かれた信仰の先輩方の後を歩みたいと思い描きます。先立たれた家族を持っている者にとっては、慰めの時です。この日の典礼色は白です。その後、間もなく教会の暦は新年を迎えます。