Sola Gratia

顕現祭

キリストの顕現を記念するのも古くからの習慣です。復活祭、聖霊降臨祭とならんで顕現祭は、洗礼式を行う日でした。また、この日に復活祭や他の祝日の日取りを告示するよう定められていました。

イエスが受洗したときに天が開けて、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声を聞かれました。わたしたちも受洗するとき、同じように「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」と神の声を聞きます。こんなに嬉しいことはありません。もっとも、幼児洗礼者のばあいは、たいてい寝ているので、聞いていないかも知れません。

1月6日の顕現祭 Epiphany の起源は東方教会です。もともと顕現という言葉の意味があいまいであり、いろいろなキリストの出来事がこの祝いに結びつけられてきました。はじめはイエスの誕生または羊飼いたちへの天使のお告げが顕現の出来事とみなされていました。しかし西方教会では12月25日にイエスの誕生が祝われるようになり、それが次第に東方教会にも広まっていくと、1月6日には東方でも西方でも三つの奇跡、すなわちイエスの受洗、星に導かれた博士たちの訪問、カナの婚礼で水をぶどう酒に変えた奇跡が顕現の出来事として記念されるようになりました。

わたしたちの用いる聖書朗読配分表でも古い習慣を保って、1月4日または6日がマタイ2章の「東の博士の訪問」、次の1月11日にルカ3章の「イエスの受洗」を読みます。次の1月18日に以前はヨハネ2章の「カナの婚礼」を読んでいましたが、近ごろはルカ4章の「ナザレの会堂での説教」に替えられました。わたし個人は伝統を守って、替えないでほしかったと思いますが。

西方教会で12月25日にクリスマスを祝うようになったのは、この日が異教の祭り「太陽の誕生日」であり、これを換骨奪胎してキリスト教化するためでした。しかし、なぜ東方教会で1月6日をイエスの誕生日または受洗日としたかについては正確なことは分かりません。なお東方教会はユリウス暦、西方教会はグレゴリウス暦を用いているので、祭の日にちがずれます。


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