Sola Gratia

すべての時代は神に直接する

前記事の執筆のついでに、気になっていたもうひとつの名言についても調べましたので書いておきます。それは、

「すべての時代は神に直接する」

"Jede Epoche ist unmittelbar zu Gott."

"Each age is immediate to God."

という言葉です。

わたしはピーター・バーガーの『天使のうわさ――現代における神の再発見――』(ヨルダン社)という本の99頁でこの言葉に出会って、目を開かれる思いがし、忘れられない名言となりました。

各時代は神に直接するものであり、その価値はそれから派生してくるものが何であるかにかかるのではなく、それが存在そのもの、当のそのもの自体の中に存するものである。まさにそれによって、歴史の考察、わけても歴史における個体的生命の考察が比類なき独自の魅力を持つこととなる。

これは、近代歴史学の祖といわれる19世紀ドイツの歴史家レオポルド・フォン・ランケ(Franz Leopold von Ranke, 1795-1886)の言葉です。

ランケはザクセン生まれのルター派信徒でした。神を信じていることが彼に歴史に対する自由な観念を与え、歴史の進歩や発展の可能性を認めた上で、なお各時代が神に対して平等な関係にあることを明らかにしました。そこから、各時代も各個人も歴史的存在として神の前に平等な関係にあることを、上のように言い表しました。その引用は岩波文庫版によりましたが、新訳がレーオポルト・フォン・ランケ『世界史の流れ』(村岡晢訳)ちくま学芸文庫1998年12月刊として出ています。


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