結城浩さんの日記「読み合わせ」http://www.hyuki.com/dig/yomiawase.html に、次の一節があります。
午後、ソフトバンクパブリッシングにて『Perl言語プログラミングレッスン』入門編の初校読み合わせ。いまちょうど読み合わせが終了し、空いた時間でこの日記を書いている。読み合わせは順調に終了。感謝である。いつもは2人で読み合わせをするが、今回は私を含めて3人で読み合わせ。本一冊を一ページずつつき合わせていくのは大変な作業だが、心地よい達成感がある。でも、さすがに疲れる…。
夜中に一人で校正をしていると、本を作るって、地味な仕事だなあとつくづく思う。細かい修正がたくさん入る。一つ一つを取り上げると「そんなの、誰が気づくの?」というような小さな修正なのだが、その積み重ねが本全体の質を左右するのだと思う。よく言われるように「神は細部に宿る」のだ。これは本当にそうだと思う。ぱぱっとひらめいた考えをすらすらっと文章にすれば、すばらしい本のできあがり、とは(残念ながら)いかない。少なくとも私にはできない。じっと考えて、毎日少しずつ書きためていって、やっとまとまる。ちまちまと修正に修正を重ねてやっと完成する。本は、とにかく手間と時間のかかる作品である。
これを読んで、「教会だより」の校正の仕事もおざなりであってはいけないなと思いました。それとは別に、ここで「神は細部に宿る」という格言に出会って、昔からこれが誰の言葉で、もとはどういう意味合いであったのかを知りたいと思いながら、確かめられないままであることを思い出しました。それで、この機会にと思って調べてみました。
これは英語では、"God is in the details"といいますが、世界3大巨匠の一人に数えられる建築家ルートヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe, 1886-1969)と、ドイツの美術史家アビ・ヴァールブルグ(Aby Warburg, 1866-1929)のお気に入りの言葉だったことまではたどれます。
しかしその元はとなると、代表作「ボヴァリー夫人」で有名なフランスの写実主義小説家グスターヴ・フローベル(Gustave Flaubert, 1821-1880)の "Le bon Dieu est dans le detail" だという説と、イギリスの著名な美術評論家・社会思想家ジョン・ラスキン(John Ruskin, 1819-1900)だという説があって、どちらも確認がとれていないようです。ということで、わたしの疑問は、まだ定説がないことが分かったことで満足しなければなりませんでした。参照先は以下のとおり。(リンク切れ)
この格言は、ミースが学生たちに語ったことから有名になったのだが、それは1940年代はじめのこと。しかしヴァーブルクはすでに1925年のハンブルク大学のセミナーで学生にしばしば "Der liebe Gott streckt im Detail." と語っていたという証言があるので、ドイツ生まれのミースはこの格言をドイツ語で知ったと推定される。
ではヴァーブルクが最初かというと、前述のように、さらにその先にフローベル説、ラスキン説があるが、ニーチェ説もあるようです。いずれも根拠のテキストが見つかってないのですが。追加の参照先は以下です。(リンク切れ)
なお、この格言とは対照的な "The devil is in the details." というのもあります。
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