Sola Gratia

「校正、畏るべし」のお話

「教会だより」の校正・校閲をしていたら、思い出したので、聖書にまつわる校正ミスの話を書いてみましょう。

歴史上最大の誤植は、なんといっても「姦淫聖書」でしょう。「汝、姦淫するなかれ」の「not」を脱落したために、「汝、姦淫すべし」と誤植し、廃棄された聖書のことです。

「姦淫聖書」またはThe Wicked Bibleと呼ばれるのは、1632年にBarker and Lucas印刷所によって印刷された欽定訳聖書ですが、出エジプト記第20章14節のモ-ゼの十戒の第七戒「汝、姦淫するなかれ(Thou shalt not commit adultery)」とすべきところが、notが抜け落ちていたために、なんと「汝、姦淫すべし」となってしまったのです。

刊行直後にこの校正ミスが発見され、「姦淫聖書」は没収焼却、印刷者は300ポンドの罰金を科せられました。しかし、全部数(一千部)を回収して焼却したはずのものが、254年後の1885年にこれが発見され、その後つぎつぎと六冊も見つかって、現在、世界の「奇こう本」となっています。現在残っている六冊の内の一冊をニュ-ヨ-クのレノックス文庫で見ることができるそうです。

校正は、気を抜かずまめにすることが必要だというお話でした。


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